ビジネスの現場で活用!実践的なノウハウ集

何から始める?個人事業主の事務所の引っ越し・移転手続き

何から始める?個人事業主の事務所の引っ越し・移転手続き

荷造りや引っ越し業者選び、各種ライフラインの手配と、仕事と並行して検討・決定することに追われやすいのが個人事業主の事務所移転。複雑な事務手続きは、敬遠してしまいがちです。

事前に何をすれば良いのか整理しておくと、心理的負担を軽減でき、作業にもスムーズに手を付けられるはず。個人事業主が事務所を移転する場合に役立つ知識を解説しますので、参考にしてください。

個人事業主が事務所移転する前に知っておくべきこと

個人事業主が事務所移転する前に知っておくべきこと

事務所移転をスムーズに済ませるためには、事前準備が大切です。まずは、必要な手続きや移転に掛かる主な費用項目を押さえておきましょう。

必要な手続きと届出について

個人事業主の事務所移転に必要な手続きは、税務署に関係するものと年金事務所に関係するものに分けられます。

まず税務署ですが、管轄内に移転する場合は「個人事業の開業・廃業など届出書」の再提出のみ。管轄外に移転する場合は、「所得税(消費税)の納税地の異動または変更に関する届出書」「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出する必要があります。届出先は、開業届と納税地異動届は移転前の管轄税務署。振替依頼書は、移転後の所轄税務署または金融機関です。

年金事務所には、「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」「健康保険・厚生年金保険事務所関係変更(訂正)届出書」を提出します。従業員を雇用している場合は「労働保険名称、所在地等変更届」も必要です。提出先は、どちらも移転後の所轄年金事務所です。

最新の詳しい情報は、国税庁のホームページを参照ください。

費用について

事務所移転にかかる主な費用項目と相場は、以下の通りです。

ご紹介しているのは東京23区での目安であり、選ぶ地域や不動産の状況、業種・業態、抱えている従業員の数など、前提に応じて各費用は大幅に変わってきます。

  • 原状回復費用:3~5万円程度
  • 引っ越し費用:従業員あたり3万円程度
  • 不動産業者への仲介手数料:家賃1カ月分
  • 敷金・礼金:それぞれ家賃の4~8カ月分
  • 火災保険料:2年契約で2~3万円
  • 内装工事費:1坪あたり10万円~
  • 各種設備工事費:1人あたり5万円~
  • 什器購入費:業種・業態による

自身のケースに照らして費用項目を洗い出しつつ、必要な予算を確保してみてください。

事務所移転に掛かる費用は、家賃や光熱費と同じく家事按分で経費として計上できます。自宅を事務所として使う場合でも、引っ越し関連の支払いでは領収書を受け取っておくと良いでしょう。

個人事業主の事務所移転時にやることリスト

個人事業主の事務所移転時にやることリスト

個人事業主の事務所移転も、大まかな流れは一般的な引っ越しと変わりません。とはいえ物件の選定基準やレイアウト決め、引っ越し業者との段取りなど、要所要所で事業者ならではの視点が求められます。

ステップごとに注意点をまとめますので、参考にしてください。

物件探し

事務所の移転先を探すときは、最初に移転の目的をはっきりさせることが重要です。現在の事務所にどのような不満があって移転するのか。事業の将来を見据えて重視すべきポイントは何か。

立地・アクセス・家賃・広さ・内装・外観デザイン・賃貸借契約の内容などを総合的に勘案して、候補となる物件を絞り込んでいきます。

物件探しを行う際は、あらかじめ現行の事務所の賃貸借契約に目を通して、スケジュールを組むことをおすすめします。解約のタイミングによっては、違約金が発生する可能性があるため注意しましょう。

レイアウト決め

移転先の物件が決まったら、レイアウトを考えます。什器の検討や引っ越しの搬入作業などをスムーズに進めるためにも、できる限り具体的に図面に起こしましょう。

日光の差し込み方や気温の変化、来客対応の際の動線など、軸となる事業活動以外の部分も多角的に吟味しておくと、レイアウトで失敗するリスクを小さくできます。

備品準備

決定したレイアウトに応じて、什器やOA設備などの準備を進めます。

すべてを新調するとコストが膨らんでしまいますから、リユースショップやフリマアプリ、リースなど、予算に応じた調達方法を考えましょう。

業務効率の観点からも、新規設備の導入を検討する良い機会です。

Web会議の機会が多ければ、プロジェクターやWebカメラを導入する、事務所への来客が多ければ、デザインインテリアに力を入れるなど、メリハリをつけて予算を割り振っていきましょう。

古い什器や備品を処分するなら、早めの行動が大切です。不用品回収業者に依頼するにせよ、地方自治体のサービスを利用するにせよ、対応には時間が掛かるからです。

移転予定日の間際に慌てないよう、スケジュールに注意して手配してください。

引越し業者決め

引っ越し業者を決めるときは、複数社に対して相見積もりを取るのが一般的です。

チャットツールを通して見積もりを行う業者もいますが、ほとんどは事務所を訪問して運搬する荷物を確認、見積もり額を算出します。多すぎても段取りが大変ですから、3〜4社に絞って依頼を出すのがおすすめです。

優先度の低い業者を先にして見積もりの日程を組むと、価格交渉がスムーズに進められます。見積もりの際は、金額に加え、対応してもらえる作業の内訳やオプションサービス(不用品の買取など)も確認し、自身のニーズにあった業者を吟味しましょう。

手続き

個人の引っ越しと同じように、個人事業主の事務所移転でも住所を登録している各種機関に届け出が必要です。

納税・年金・保険が関係する公的機関はもちろん、郵便局・金融機関・クレジットカード会社、各種ライフラインの手配など、抜け漏れなく手続きを済ませておきましょう。

ホームページや広告媒体、名刺などの事務所所在地の記載は見逃しがちですので、注意してください。

個人事業主が働きやすいのは?オフィスの3つの選択肢

業種・業態にもよりますが、個人事業主は会社員ほど働く場所に縛られません。

自宅の一部を事務所にするのも、賃貸物件を利用するのも自由です。働き方の多様化により、シェアオフィスという選択肢もあります。

それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

1.自宅

1.自宅

個人事業主が自宅を事務所に使う大きなメリットは、ランニングコストを抑えられる点です。

事務所の家賃という固定費を削減でき、自宅の家賃も家事按分で経費に組み込めます。水道光熱費、インターネット回線の費用なども按分できますから、相応の節税メリットが期待できます。通勤が不要になるため、時間を有意義に使えるのも利点でしょう。

デメリットとしては、私生活と仕事の境目が曖昧になってしまう点が挙げられます。とくに家族がいる場合は、作業スペースや就業時間を巡って肩身の狭い思いをする可能性が。

ホームページや名刺などで不特定多数に向けて住所を公開するため、セキュリティ面での不安も見過ごせません。事務所を賃貸する余裕がないと判断され、社会的信用を低く見られる、という側面もあります。

実務は自宅で行い、郵便物の受け取りや電話番号・FAX番号のみ利用できるバーチャルオフィスや、小さな賃貸オフィスを利用するのも一つの手です。金銭的に事務所を構えることが難しい場合でも、一等地の住所を名刺やホームページに記載できるため、セキュリティ面での不安解消はもちろん、社会的信用も高まります。

自宅を事務所として使う場合は、デメリットを上回るメリットが見込めるか、事業計画や将来のビジョンを踏まえて慎重に判断しましょう。

2.賃貸事務所

2.賃貸事務所

賃貸事務所のメリットは、事業に特化した空間を得られる点です。多くの場合、誘惑の多い自宅よりも仕事に身が入ります。

顧客を事務所に招いて商談したり、従業員を増やしたり、事業活動における選択肢も広がるでしょう。セキュリティリスクや信用力の低さといった、自宅を事務所に使うデメリットも解消します。

デメリットは、家賃という大きな固定費が発生する点です。入居の際には仲介手数料に加え、敷金・礼金、什器やOA機器の購入費など、まとまった資金も必要です。

賃貸事務所への憧れから、条件の悪い安い物件を借りて後悔する個人事業主も少なくありません。

移転時の初期費用も継続的に発生する毎月の家賃も、決して軽い負担ではありませんから、検討するのは業績が中・長期的に安定して推移する見込みを持ってからにすると良いでしょう。

3.シェアオフィス

3.シェアオフィス

シェアオフィスのメリットは、自宅オフィスと賃貸事務所の良いところ取りができる点です。

ワークライフバランスの向上やビジネスコストの削減、異業者との交流などを目的に、大企業も積極的にシェアオフィスを活用しています。一等地に構えるシェアオフィスも少なくありません。

費用を抑え、かつ社会的信用も担保できます。

個人事業主同士でスキルをシェアして、単独では獲得が難しい案件に取り組むことも可能です。ビジネスチャンスが増える点も、シェアオフィスの見逃せないメリットといえるでしょう。

一方、デメリットはシェアオフィスによって設備や料金が大きく異なる点です。個室の有無や利用者の傾向、アクセス、内装の雰囲気など、自身の望みに合わせて慎重に検討しないと、期待するメリットが得られないかもしれません。

個人事業主の働き方を変えるコンパクトなプロジェクター

個人事業主の働き方を変えるコンパクトなプロジェクター

事務所の移転は、内装やレイアウトだけでなく、業務ツールの見直しにもちょうど良い機会といえます。どこで働くにせよ、優れた道具は業務効率や仕事の質を改善することでしょう。

1台あると便利なのがプロジェクター。事務所内の壁やパーテーションを利用して好きな場所で使えるので、モニターのように場所の制約がありません。持ち運びやすい小型プロジェクターなら、出先の商談でも資料を大きく投写することで情報が伝わりやすく、打ち合わせの質も上がります。オンラインでのミーティングやセミナーにも活用できるほか、デュアルモニターとしても使えるなど、仕事の質をぐんと上げてくれることでしょう。プライベートでは大画面で映画鑑賞やスポーツ観戦を楽しむことも可能です。

個人事業主の方にぜひおすすめしたいのが、コンパクトサイズのレーザープロジェクター「EF-11」です。片手で持ち運べるほど小型で、場所も取らず、デザインもおしゃれ。PCやスマホ画面をワイヤレスで投写でき、コンパクトながらコントラストもはっきり出ます。

ビジネスでもプライベートでも使える、個人事業主の方に最適のモデルです。

おわりに

事務所の移転を考える個人事業主の方に向けて、必要な手続きの種類や引っ越し先のオフィスの選択肢などを解説しました。

個人事業主の大きな魅力は、やはり自由度が高いことです。役所関係の手続きは不可欠ですが、オフィスの選び方も引っ越しの進め方もあくまで指針であり、確固としたルールはありません。

また個人事業主として効率良く働くためには、便利なツールを導入して、それを上手に活用することがカギとなります。移転の準備とあわせて、ぜひプロジェクターの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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